■小さなトムテたちのお話■

 




写真:Tomtebo Barnen(もりのこびとたち)より撮影

Tomte(トムテ)と呼ばれる「とても小さな妖怪」がいます。
妖怪というわれると、日本のゲゲゲの鬼太郎を思い出すのですが(私だけ?)、かわいい感じです。
スウェーデンには、トムテは農場にいて、トムテに優しくすると、私たちに良くしてくれるそうなのですが、
意地悪をするとかなりひどい仕打ちがかえってくると信じられていました。
あの有名な「ニルスの不思議な旅」のニルスが小さくされたのも、トムテに意地悪をしたことが原因だったんです。

この本の中では白い服を着た赤地に白い斑点の帽子をかぶった
4人の小さな小さなトムテたちが出てきます。
帽子は毒キノコ(Flugsvampと書かれていました)です。
それをかぶっていれば、人間が来たときや、危険な動物が来てもすぐに身をかくせるからだそうです。

 

 

小さなトムテたちは、幸せな生活をしています。

沼へ遊びに行って、蛙たちと遊んだり、
秋になれば、きのこのことを学び、どのきのこが毒があって、
どのきのこが食べられるか・・でも間違えて持ってきたりすると、こっぴどく怒られることもあるそうです。

月の輝く秋には、コケの生えた石の後ろに住んでいる妖精たちとシーソーで遊んだりダンスをしたり・・。
危険な動物や、人間から身を守るために、ふくろうのお母さんのところで勉強したりもします。
四季を通してのトムテや自然の生活が見えてとても楽しいお話です。

 

 

■作者のエルサ・ベスコフ■

エルサ・ベスコフ(Elsa Beskow)は1874年 ストックホルムの南にて生まれる。

幼い頃に父を亡くしたエリサですが、兄弟たちとはとても仲が良かったようです。
よく絵を描いてたなどという話もあるそうです。
ストックホルムの技術学校で絵画を学ぶ。


1897年、牧師で芸術家でもある男性と結婚。


  処女作は1897年
「 Sagan om den lilla lilla gumman」
(邦題:ちいさなちいさなおばあちゃん)


とっても優しい気持ちにさせてくれる絵なのですが、彼女が描いています。
私はこのやわらかい感じのタッチが好きです。

左:Tomtebo Barnenより 右:Tant grön, Tant brun och tant gredlinより

 

一枚、一枚、絵の左端には彼女のサインがついています。

彼女の絵本のほとんどすべてが、スウェーデンの子供から大人、もしくはおじいさん、おばあさんの代まで
知られています。
また、彼女の絵が多くの絵本作家に影響しているそうです。

1952年 「ニルス・ホリゲション賞」受賞

アストリッド・リングレーンと同じぐらい有名ですが、
スウェーデン人から言わせると、
エルサ・ベスコフはどちらかというと絵本(小さな子供向け)の画家で
アストリッド・リングレーンは童話作家という違いだそうです。

翌年、1953年 死去。

彼女の本は、
日本語 アラブ語 デンマーク語 アイルランド語 英語 ノルウェー語 フィンランド語 ポーランド語
ロシア語 フランス語 スペイン語 ドイツ語 オランダ語と多くの国々に翻訳をされています。

 

■ 日本での出版作品-日本語とスウェーデン語の対応表- ■

ちいさなちいさなおばあちゃん Sagan om den lilla lilla gumman
(1897)
Gummanは
おばあさんの意
おひさまがおかのこどもたち Barnen på Solbacka
(1898)
 
ブルーベリーもりでの
プッテのぼうけん

Puttes äventyr i blåbärsskogen
(1901 )
äventyrは冒険の意味
  花のうた
(エルサはイラストのみ)
Blommornas bok
(1905)
直訳は花々の本
ウッレのスキーのたび Olles skidfärd
(1907)
 
もりのこびとたち Tomtebobarnen
(1910)
 
ペレのあたらしいふく Pelles nya kläder
(1912)
 
リーサの庭の花まつり Blomsterfesten i täppan
(1914)
 
みどりのおばさん、
ちゃいろのおばさん、
むらさきのおばさん

Tant Grön,
Tant Brun och
Tant redelin
(1918)

Gredlinは古いスウェーデン語で「紫」と呼ぶようです。
現代語で紫はlilaということの事の方がが普通です。
Tantはおばさんの意。
ちゃいろおばさんのたんじょうび Tant Bruns födelsedag
(1925)
 
ペッテルとロッタの冒険 Petter och Lotta på äventyr
(1929)
 
ぼうしのおうち Hattstugan
(1930)
stuganは「小屋」の意味。直訳は帽子小屋。
おひさまのたまご Solägget
(1932)
 
しりたがりやの小さな魚の
おはなし
Sagan om den nyfikna abborren
(1933)
nyfiknaは「好奇心旺盛な」という意味で
Abborrenとはパーチと呼ばれる淡水魚。
おじょうさまのぼうけん Sessalätts äventyr
(1934 )
äventyrは冒険の意。
どんぐりぼうやのぼうけん Ocke, Nutta
och Pillerill
(1939)
 
あおおじさんの
あたらしい ボート
Farbror Blås
nya båt
(1942)
Farbrorは父方のおじさん

エリサ・ベスコフの本については、すべての著作権は著作者に属します。

::お詫び::
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参考サイトなど
Wikipedia Elsa Beskow
のページ