■NHKでも放映されたアニメーション■

ニルスの不思議な旅・・NHKで放送していたので、
お話を読んだことがなくてもご存知の方も多いと思います。

実は、このお話も、スウェーデン人の偉大な女性作家によって書かれているのは、
あまり知られない事実かも・・という私が、スウェーデン移住前は知りませんでした。

意地悪で親不孝もの、生き物に何の愛情も感じないニルスが、その罰としてかのように、
妖精(トムテ)によって体を小さくされてしまいます。

二リスは、スウェーデンの国内をガチョウや雁にのって旅をし、動物たちと、仲良くなる。
意地悪なニルスもちょっとずつよい子になっていくというお話。




■著者、セルマ・ラゲルレーヴ■



20KR札で毎日お目にかかっている、
セルマ・ラーゲレーヴ。




セルマ・ラーゲルレーヴ( Selma Lagerlof )は南スウェーデンのヴェルムランド(Värmland)で
1858年生まれる。

ストックホルムで勉強をし、 1885年から1895年まで女学校の先生として働く。
彼女がこのとき初めて小説を書き始めたのが偉大な作家への始まりだった。

 

 

Idunという雑誌の小説コンテストに応募し入賞し、1891年初出版となった作品は、
「GOSTA BERLINGS SAGA」(邦題不明。日本語訳は”ヨスタ・ベルリングの物語”)だが、
あまり売れなかった。 しかし、このデンマーク語に翻訳されたときに、小説評論家の
レビューがよかったため、彼女は1890年代の作家として蘇ったそうだ。

ちなみに私が読んだのは、右の子供用に簡単に書き換えられたものなのです。
お話は、セルマの生まれ故郷、ヴェルムランドで起こる、 アルコール中毒のGösta Berlingという牧師のストーリー。
とある 12人がだめだめのGösta Berlingを正しい道へ導くお話。

この、GOSTA BERLINGS SAGAの成功により、彼女は小説に専念できることになる。


1901年からは2篇にわたり『エルサレム』(スウェーデン語では Jerusalem)を書く。 スウェーデンの小作農家が聖地エルサレムに移住するというお話。

1906年には有名な「ニルスの不思議な旅」(Nils Holgerssons underbara resa genom Sverigeで、直訳
ニルス・ホリゲションスウェーデンあちこちへの不思議な旅 )

 

この本の挿絵。
小学生の子供たちにスウェーデンの地理を理解してもらおうと書いた本だそう。

小さくされたニルスがスウェーデン中を旅します。

1909年、スウェーデン初、さらに女性初のノーベル賞文学賞受賞。

1914年には ポルトガルアの皇帝さん
(KEJSARN AV PORTUGALLIEN)を書く。


小作農民のヨーンは、目に入れても痛くないほどいとおしい娘が家賃と借金を払うためにストックホルムへ出稼ぎに行く。
娘の帰りを今か今かと待っているうちに、彼は妄想から抜け出されなくなって、自分が本当にポルトガリアの皇帝でお姫様を待っていると思い込んでしまうというお話。 スウェーデンの100年以上前の貧しい暮らしがかいま見れます。

1940年、第2次世界大戦始まって2年目に82歳で最愛の家族に看取られて死去。

 

■主な出版作品■

 

邦題不明
(訳:GOSTA BERLINGの物語)

Gösta Berlings Saga (1891)

アルコール中毒の牧師が
12人に導かれるという、摩訶不思議なお話。
セルマの処女作

エルサレム

 

Jerusalem(1901-02)

スウェーデンはダールカリア地方の豪農一家の歴史を追いつつ、宗教復興運動が、過去から未来にかけて、人間精神に生みだしつづける苦しみを描く。

キリスト伝説集 Kristuslegender (1904) キリスト教の寓話集
ニルスの
不思議な旅
Nils Holgerssons undervara resa genom Sverige
(1906-1907)
意地悪なニルスが小人にされてしまい、スウェーデン中を旅するというお話。
ポルトがリアの皇帝さん Kejsaren av Portugallien(1914) 娘を溺愛する貧乏なヨーン。
娘がストックホルムに出かせに出たことによって意気消沈してしまう、家族愛のお話。
モールバッカ

Mårbacka(1922)

セルマの生まれ故郷、モールバッカ。
荘園のお話。

 

*セルマの本は、古典のスウェーデン語がために、私は子供用に簡単にされたものを読みました。
多少の違いがあるとしたら申し訳ございませんがお知らせくださいませ。

■参考サイト■
http://www.marbacka.s.se/ (スウェーデン語)

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